原子力発電はエネルギーを安定供給する半面、大事故を起こすと終わりは容易に訪れないという困難さを併せ持つ。5年前の福島事故とともに、現実を如実に物語る重い教訓としたい。

 歴史的な過酷事故が、その国固有の弱点を突くとすれば、ソ連の行き過ぎた技術改良競争がチェルノブイリ事故の背景にあろう。

 チェルノブイリ4号炉では「石棺」と呼ばれる建屋の覆いの劣化が進んでいる。日本を含む国際協力で10年以上前から、全体を収納する巨大なシェルターを建設しているが、完成に6年の遅れが生じている。高温で溶融した燃料の塊などの回収のめども立たない。

 日本の発電所の加圧水型や沸騰水型とは大きく異なる別設計の原子炉であったこともあり、日本では起こり得ない事故と受け止められがちだった。そのため、国や電力会社が他山の石として学び取った事例は少なかった。

 米国のスリーマイル島事故を含めると重大な原発事故は、保有基数の多さとも関連性を持っている。その点で憂慮されるのが、急速に原発を増やし「原発強国」を標榜(ひょうぼう)している中国だ。

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