日本の造船業界は、価格面などから中国・韓国勢にシェアを奪われてきたが、近年は円安傾向を背景に息を吹き返しつつある。同社によると、さらに今回は、発注側の中国製品に対する不信感に加え、南シナ海をめぐるフィリピンと中国との関係などもあって日本の技術力が優先され、同社の受注につながったという。

 福島造船鉄工所は、江戸時代に松江藩の船大工だった流れをくみ、明治元年に創業した老舗造船所。日本最大級の規模を誇る全天候型乾ドックを有し、鋼船やFRP船、アルミ船など多彩な船種の建造をこなす技術力を持つ。

 島根県で唯一、本格的な鋼船の製造を手がける松江市の福島造船鉄工所で、フィリピンの海運会社から受注した貨物船が建造された。今年1月に進水式を行い、試運転を経て艤装(ぎそう)が終了し、今月25日に引き渡しの式典がある。海外からの受注は、昭和59年以来32年ぶり。

 スターライトフェリーは、同型船計5隻を日本企業に発注。うち、福島造船鉄工所は2隻を受注した。同社が海外からの発注で新造船を手がけるのは、昭和59年に旧ソ連向けに建造した地質調査船以来。福島伸光社長は「5月には2隻目に着工の予定で、今後も海外の受注を積極的に獲得したい」と話している。

 松江市美保関町の境水道にある福島造船鉄工所・森山工場で建造が進められているのは、フィリピンの海運会社「スターライトフェリー」が発注したRORO船(全長67メートル、総トン数2682トン)。RORO船は、荷物を積んだ車両がそのまま乗り降り可能な貨物船で、フィリピン国内の島嶼(とうしょ)間を結ぶ路線で運航する内航船として活用される。

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