高速道工事で橋桁落下2016年04月25日(月)

 神戸市の新名神高速道路工事現場で、鋼鉄製の橋桁(長さ120メートル、重さ1350トン)が架設中に20メートル下の国道に落下し、作業員2人が死亡した。幸いにも通行中の一般車両が巻き込まれることはなかったが、一歩間違えば被害が大幅に拡大していた可能性がある。
 兵庫県警や発注元の西日本高速道路によると、橋桁の西側を仮支えしていたジャッキ4基のうち2基が崩落していた。ジャッキの不具合でバランスを保てず、ずれ落ちた可能性が高いとみられる。機材の故障か、設置や操作ミスといった人為的な問題か。作業手順の検証など原因究明を徹底し、再発防止につなげなければならない。
 現場では大型クレーンの設置が難しいため、橋脚に橋桁を置き、次の橋脚に向けて押し出す「送り出し」と呼ばれる工法を採った。施工に当たる横河ブリッジは、1997年にも北海道の高速道路工事で3人が死亡する事故を起こしている。このときも同じ工法で作業していて、ジャッキの位置が不適切だったため橋桁がずれて落下した。共通点は少なくない。
 兵庫県警は昨日、工事を請け負った三井住友建設と横河ブリッジの共同企業体事務所など、関係先を業務上過失致死傷容疑で家宅捜索した。作業の進め方や教育訓練の在り方など、前回の事故の教訓が安全対策に生かされていたかどうかも含め、徹底した捜査を求めたい。
 現場近くの防犯カメラ映像には、事故直前まで多くの車が橋桁の下をくぐる様子が写っていた。結果的に巻き込まれなかったとはいえ、通行止めなどの交通規制をせずに作業した判断の是非も問われよう。
 思い出されるのは、91年に広島市で起きた新交通システム工事での事故だ。設置作業中の橋桁が県道で信号待ちしていた車列に落下し、15人が犠牲になった。交通量が多いなどの理由から規制はしていなかった。
 神戸の事故は、橋桁を専用設備でつり下げるための金属製器具3基(計75トン)を、西側に取り付けた直後に起きた。東側はすでにつり下げた状態で、仮支えの土台を解体していた。橋桁自体を動かす作業はもちろん、バランスが変わるなど危険を生じる可能性が少しでもある工程では、何らかの交通規制を検討する必要があろう。慎重の上にも慎重な対応に努めるべきだ。
 愛媛でも98年、今治市の瀬戸内しまなみ海道来島大橋建設現場で、工事用の仮設桁が解体撤去中に落下して作業員7人が死亡する事故が起きている。昨年9月には同市の自動車専用道路高架橋工事で、コンクリート製の橋桁が市道近くに落下した。けが人がいなかったからといって看過することはできない。
 重層的な安全対策を講じる重要性を、大規模工事に携わる業者や作業員は改めて肝に銘じてほしい。工法にかかわらず、全ての現場で作業内容や工程の点検を急がなければなるまい。

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