ハウスには若手農家が市内外からやってくる。「これから一緒になすびを作る仲間なので、自分の技術は何でも伝えている」(山本さん)と話す。JAいずみの販売課の双和功課長は「中堅が少ないことが産地の課題。見本であり、若手を育ててくれる存在」と信頼を寄せる。(斯波希)
 

 探究心は人一倍だ。出荷時期は180日間休まずハウスに通い、収穫を一人でこなしながら状態を観察する。常に作物の3週間先をイメージし、かん水や追肥のタイミングを見極める。品質面でも、実需者である漬物業者のニーズを探ろうと、自ら漬物加工を手掛け栽培に生かしたこともある。

「自分が本当においしいと思うものだから作っていて楽しい」と山本さん(大阪府岸和田市で)

 最も力を入れる土づくりでは、地域平均の2、3倍にもなる10アール当たり3、4トンの堆肥を投入する。1つ20キロある堆肥を扱う作業はさすがに骨が折れるが、毎年この作業を欠かさない。「若い農家は目に見える木の様子ばかり気にするが、大事なことはいかに根を張らせるかに尽きる」と力を込める。

 絞ると水が滴り落ちてくるほどのみずみずしさと、軟らかさが特徴の「泉州水なす」。大阪中央青果によると、一般的なナスに比べ、3割ほど高く取引される高級ナスだ。元々ミカン農家として就農した山本さんは、「ミカンではトップ産地に味で勝てない。泉州でしか作れない本当においしいものを作りたい」との一念で水ナス栽培を始め、技術を磨いてきた。

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